日本臨床細胞学会雑誌
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肺芽腫の1例
山下 展弘加地 澄子勝山 栄治
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2004 年 43 巻 1 号 p. 70-74

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抄録

背景:肺芽腫は腫瘍性の上皮成分と未熟な問葉系成分が混在した二相性を示すまれな腫瘍で, その細胞像の報告は少ない.
症例:69歳, 男性. 湿性咳噺を主訴とし, 肺癌疑いにて当院紹介となる. 胸部X線, CTにて右肺上葉S1に直径約5cm大の境界明瞭な腫瘤を認めた. エコー下肺生検にて未分化な悪性腫瘍細胞を認めた. 肺穿刺細胞診ではN/C比がきわめて高く, ほぼ裸核様で繊細なクロマチンの増加した肺小細胞癌を思わせる細胞や, 偏在核で腫大した核小体を1~数個みる腺癌を思わせる細胞集塊が混在し出現していた. 肺癌疑いにて上葉切除術を施行した. 術後病理所見で, 類内膜腺癌類似の腺癌の成分と, 一部に軟骨肉腫への分化をみる肉腫様成分を認め, 二相性肺芽腫と診断した.
結論:未分化な細胞や腺系細胞集塊が混在し出現する腫瘍には, 画像所見などの臨床所見も検討し, 肺芽腫も鑑別診断に含めることが必要である.

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