油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
重合物量及び極性物質量による家庭調理を模した加熱大豆油の劣化度の評価
原 京子趙 舜栄藤本 健四郎
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1989 年 38 巻 6 号 p. 463-470

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抄録

加熱大豆油中の重合物量及び極性物質量が加熱油の劣化度を評価するのに有効か否かを基礎的に検討した。日本の家庭での典型的な食用油使用法を想定し, まず多量の大豆油を鉄なべ中で長時間加熱したものを揚げ油試料とし, その一部をフライパン中薄膜状態で短時間加熱したものをいため油試料とした。重合物はゲル浸透高速液体クロマトグラフにより分析・定量した。一方, 極性物質量はケイ酸溶着ロッドにより展開し, 水素炎イオン化検出器を用いるイアトロスキャンで定量した。また, 比較のため従来から加熱油劣化の指標とされている化学的特数 (酸価, 過酸化物価, カルボニル価, ヨウ素価), 色調, 脂肪酸組成を求めた。その結果, 重合物量及び極性物質量は加熱時間に比例して直線的に増加すること, また両者間には非常に高い相関関係が認められ, 高極性重合物が油脂の主な熱酸化生成物であることから, 重合物量及び極性物質量は加熱油の劣化度を評価するのに最も直接的である点で他の評価法より有効であることが判明した。またいための際の劣化は, 揚げ操作より著しく速かった。

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© 公益社団法人 日本油化学会
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