1992 年 41 巻 10 号 p. 1025-1028
好熱性ラン藻Synechococcus elongatusから細胞質膜とチラコイド膜を分離した。両膜の極性脂質の組成は類似しており, モノガラクトシルジアシルグリセリンが約58%, ジガラクトシルジアシルグリセリンが約16%, スルホキノボシルジアシルグリセリンが約11%, ホスファチジルグリセリンが約8%含まれていた。両膜の全脂質の約50%は色素であり, チラコイド膜の色素の約2/3はクロロフィルaであったが, 細胞質膜に含まれるクロロフィルaはわずかであった。クロロフィル以外の色素はいずれの膜でもカロテノイドと考えられた。両膜の脂肪酸組成も類似しており, パルミチン酸が50%以上, オレイン酸が約20%, パルミトレイン酸が約15%, ステアリン酸が約10%含まれている。常温性のラン藻と比較すると, Synechococcusの膜には多量の色素が含まれており, ホスファチジルグリセリンが少なく, 脂肪酸組成が単純で, 飽和脂肪酸が多かった。