抄録
単分散O/Wエマルションの安定性に及ぼす電解質の影響について, SDS水溶液/ケロシン系を用いて研究した。
エマルション液滴数の減少速度定数 (k2) は本実験で用いたすべての電解質に対して, その濃度増加にともない減少し, ある濃度で最小値を示した。エマルション液滴のゼータ電位は, 一価の陽イオンの場合k2の最小値を与える濃度で最大値を示したが, 二及び三価の陽イオンの電解質濃度の変化に対しては, ゼータ電位とk2の変化の間の同様な対応は見られなかった。エマルションの遠心分離によって得られた油相分離率及びSDS 水溶液/ケロシン系の界面張力は, どちらも電解質濃度の増加とともに減少した。
これらのことから, バルク相溶液中における電解質濃度の増大により, エマルション液滴の静電的反発力の低下と液的の合一に対する界面膜の保護効果の増大が同時に生じ, その結果, k2の最小値が存在すると結論された。