抄録
本総説では固体表面に吸着したイオン性界面活性剤の吸着層の状態や吸着様式に関する最近の研究成果を概説する。特にナノスケール領域でのin situ観察に関する研究例に着目して紹介する。イオン性界面活性剤分子が極性固体表面に吸着した場合,その吸着分子は固体表面との間に働く相互作用に加え,吸着分子間にも相互作用が働く。これらの相互作用の釣り合いのもとで吸着分子は種々の凝集構造を固体表面で形作る。吸着分子の凝集体の構造や様子についての報告例を原子間力顕微鏡など最近開発された測定手段を交えて紹介する。