日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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表面力直接測定からわかる界面活性剤超分子系の特性
栗原 和枝
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1996 年 45 巻 10 号 p. 1107-1114,1207

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抄録
表面力直接測定は,界面活性剤超分子系の相互作用を研究する強力な手段である。当測定を用い,界面活性剤集合体の分散特性について,新たに分子レベルでの具体的な知見が得られ,理解が深まっている。例えば,(1)アンモニウム界面活性剤の対イオンを臭素イオンから酢酸イオンに変えたときの自発的なベシクル形成,(2)非イオン性界面活性剤ミセルの曇り点,(3)NaCl塩を加えた時のべシクルの融合と凝集,(4)200nm以上に及ぶ疎水表面間の長距離引力,などの場合である。また,ポリイオンの吸着構造も研究され,ポリスチレン硫酸塩がアンモニウム膜に,化学量論的には1:1で平らに結合することが分かった。さらに,高分子電解質で修飾した界面活性剤を用い,従来手つかずであった高分子電解質ブラシ層の様々な構造特性が,表面力の立体力成分を解析し明らかになっている。
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© 公益社団法人 日本油化学会
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