抄録
超分子集合体のキャラクタリゼーションは熱力学的,流体力学的,分光学的,電磁気学的手法,散乱,そして顕微鏡観察によって行われる。これら方法のうちで,顕微鏡観察では集合体の大きさと形態に関する情報を直接視覚的に認識できる点が他の方法とは異なる特徴である。この総説では,光学,電子,走査プローブ顕微鏡の技術を簡潔に説明し,顕微鏡による界面活性剤集合体の研究を報告する。ミセル,逆ミセルの形成は電子顕微鏡(TEM)観察によって証明された。液晶は特徴的な偏光顕微鏡像とTEM像を示した。ベシクル,逆ベシクル内に二分子膜が存在することは凍結割断TEMの観察によって確証された。ベシクルとエマルションの凝集,融合,破壊は微分干渉顕微鏡によって追跡された。界面活性剤/水/油(有機溶媒)の多成分系中で構築される分子集合体の構造が決定された。色々な種類の超分子繊維がクライオTEMによって観察された。Langmuir-Blodgett膜のような二次元的に配列した構造が原子間力顕微鏡によって均一系,不均一系間で比較された。