食事由来のカロテノイドの発癌抑制作用に関する疫学的研究と, ベータカロテン補給による臨床介入試験の結果を簡単に要約し, カロテノイドの抗しゅよう作用に関する細胞生物学的研究の中で, ギャップジャンクションの誘導に関するものと, 細胞周期の調節に関するものの2つを取り上げ解説した。また, 筆者らのカロテノイド研究の最新の成果を, 特に肝癌プロモーターであるミクロシスチンに対する拮抗作用と子宮頚部異形成細胞における上皮成長因子受容体に対する抑制作用の2つに焦点を絞って詳細に紹介した。発癌予防におけるカロテノイドの役割について考察を加えた。