ビタミンAは幅広い生理活性を示し, その効果は分化段階特異的である。ビタミンAの生理作用の大部分は, 核内受容体を介した遺伝子発現調節を介していると考えられている。ビタミンAの活性本体はall-trans型, 9-cis型のレチノイン酸と考えられており, それぞれ特異的に核内受容体であるRAR, RXRに結合する。RAR, RXRはステロイド・甲状腺ホルモン核内受容体スーパーファミリーに属しており, リガンド誘導性転写制御因子である。RAR, RXRはホモあるいはヘテロ2量体として標的遺伝子プロモーターに存在するレチノイン酸応答エンハンサーDNA配列に結合し, 遺伝子の発現を転写レベルで制御する。