日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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ビタミンDの構造と活性相関
岡野 登志夫
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1996 年 45 巻 5 号 p. 415-424

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抄録

ビタミンD3の活性型である1 α, 25-dihydroxyvitamin D3は, ビタミンD3に特徴的な内分泌系を介して多彩な生理作用を発揮する。この内分泌系は, 小腸や骨などカルシウム代謝調節にあずかるのみならず, 免疫系や, 正常あるいは癌細胞の増殖・分化過程, あるいは様々な内分泌ホルモン産生細胞の機能にも関係している。
1 α, 25-dihydroxyvitamin D3の構造修飾, 特に側鎖やA環の構造を修飾することにより, 様々な生理機能をもつビタミンD誘導体を産みだすことができる。ビタミンD内分泌系では, ビタミンD結合蛋白質 (DBP) とビタミンD受容体 (VDR) が1 α, 25-dihydroxyvitamin D3の活性発現に重要な働きをする。従って, これら蛋白質に対する結合性を通してビタミンD誘導体の構造と活性相関を研究することはとても有意義であり, ビタミンD内分泌系の詳細な仕組みや難治性疾患 (骨粗鬆症, 腎性骨異栄養症, 癌など) の治療薬開発のコンセプトを理解する道ともなる。

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