日本油化学会誌
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セトウチマイマイのスフィンゴ脂質 (第3報)
内臓部のセラミド
岸根 秀樹林 陽
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1997 年 46 巻 2 号 p. 153-164

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抄録
有肺類のセトウチマイマイ (Euhadra hichonis) の内臓部より単離された2つのセラミド (セラミド-Iとセラミド-II) について, FAB/MS, GC, GC/MSそして化学的な方法を用いて構造研究を行った。
セラミド-Iの主な脂肪酸はヘキサデカン酸 (19.6%) と2-ヒドロキシヘキサデカン酸 (14.3%), セラミド-IIは2-ヒドロキシヘキサデカン酸 (39.5%) であった。
セラミド-Iの主な長鎖塩基は2-アミノ-16-メチルオクタデセン-1, 3-ジオール (39.8%), セラミド-IIは2-アミノ-16-メチルオクタデカン-1, 3, 4-トリオール (47.2%) であった。その結果, セラミド-Iの主な分子種の構造はN-ヘキサデカノイル-2-アミノ-16-メチルオクタデセン-1, 3-ジオールとN-2-ヒドロキシヘキサデカノイル-2-アミノ-16-メチルオクタデカン-1, 3, 4-トリオールであり, セラミド-IIではN-2-ヒドロキシヘキサデカノイル-2-アミノ-16-メチルオクタデカン-1, 3, 4-トリオールであった。
セトウチマイマイ内臓部のセラミドの長鎖塩基で最も注目すべき特徴は分枝長鎖塩基が多量に存在することである。
またセトウチマイマイのスフィンゴ脂質の合成経路を考察するために, セラミド-Iと-IIの分子種とセラミドモノヘキソシド, スフィンゴリン脂質のセラミド部の分子種を比較した。
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