日本油化学会誌
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フルオロアルキル基含有アリル-, ジアリル-アンモニウム=クロリドオリゴマー類の合成と界面特性
沢田 英夫丹葉 敬一川瀬 徳三馬場 昌範早川 由夫
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1997 年 46 巻 2 号 p. 191-203

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抄録
過酸化フルオロアルカノイルとアリルアンモニウム=クロリドとのオリゴメル化反応およびジアリル-もしくはジアリルジメチルアンモニウム=クロリドとの環化オリゴメル化反応により, それぞれフルオロアルキル基が炭素一炭素結合で導入された新規なアリル-およびジアリル-アンモニウム=クロリドオリゴマー類が温和な条件下で得られた。さらに, 過酸化フルオロアルカノイルによるアリルアンモニウム=クロリドとアクリル酸, 2- (メタクリロキシ) エタンスルホン酸もしくはトリメチルビニルシランとのコオリゴメル化反応により, 同様の温和な条件下で対応するフルオロアルキル基含有アリルアンモニウム=クロリドコオリゴマーが得られた。フルオロアルキル基含有アリルアンモニウム=クロリドオリゴマーは水のみに可溶であるが, ジアリル-およびジアリルジメチル-アンモニウム=クロリドオリゴマーは水, メタノール, エタノール, ジメチルスルホキシド等の極性有機溶剤に可溶となった。これら合成されたカチオン系オリゴマーは水の表面張力を10mNm-1付近にまで著しく低下させることができた。従って, これらオリゴマーはフルオロアルキル基を有する新しいアリルタイプのカチオン系高分子界面活性剤として有用である。フルオロアルキル基含有アリルアンモニウム=クロリドオリゴマー類のMT-4細胞中における抗エイズ活性について検討した。その結果, コオリゴマーのいくつかはエイズウイルスの増殖を抑制することができるものの, 全てのオリゴマーがMT-4細胞の増殖を抑制し, 選択性は認められなかった。
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