抄録
高度不飽和モノアシルグリセリン (MG) 及びトリアシルグリセリン (TG) を水溶性ミセル中で酸化させた。 MG中の高度不飽和アシル基の酸化に伴う減少量をGCにより分析した結果, 水系ではモノDHAが最も酸化されにくく, ついでモノアラキドン, モノリノレニン, モノリノールの順となることわかった。ドコサヘキサエン酸 (DHA) エステルがリノール酸エステルより酸化されにくいという結果はTGの場合でも同様であった。MGとTGとの酸化安定性を比較した場合, TGの方がより酸化されやすかった。これは, 同一TG分子に結合した高度不飽和アシル基間での分子内ラジカル連鎖反応の方が, 各MG分子に結合した高度不飽和アシル基間での分子間ラジカル連鎖反応よりも起こりやすいことに起因しているためと考えられた。