1997 年 46 巻 5 号 p. 551-557,598
ジミリストイルホスファチジルグリセロールのナトリウム塩 (DMPG) -水系のスメクチック液晶の熱的性質をX線回折による2分子膜の厚さ, 示差走査熱量測定 (DSC), スピンプローブ法による電子スピン共鳴スペクトルなどの測定によってゲル・液晶の転位温度, Tm以上で温度の関数として調べた。DMPGの0.1mol・dm-3 NaCl中での分散系ではDMPGのX線回折ピークを測定温度によらず観察することができたが, 水分散系では回折ピークは臨界温度, T* (=31.7℃) 以上で消滅した。この新しく見いだされた現象はDSCの結果よりDMPGの末端グリセロール部位の水和と二分子膜のミクロ熱挙動がT*で変化するためであるとして説明された。さらに, グリセロール部位の脱水和による界面活性への影響をDMPGの平衡拡張圧の温度依存性から確かめることができた。