抄録
糖脂質加水分解酵素モデルを種々のpH条件で使用して, Z-フェニルアラニンおよびZ-メチオニンρ-ニトロフェニルエステルを加水分解した。糖脂質はα-キモトリプシンに類似の加水分解活性のpH依存性を示し, 反応場としてのホスファチジルコリンの有無に拘わらずpH8に頂点を持つ山形のpH依存曲線を示した。また同時に, 糖脂質の基質識別能はそのpH依存性と逆の傾向を示し, 分解速度が速ければ速いほど識別能の低下することが分かった。このようなpH依存性は, pHが高くなるにつれて活性種の量が増加することとベシクル膜の安定性が減少することとの組み合せによって説明できた。