日本油化学会誌
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芳香族ユニットを含む脂肪族系ポリエステルの合成, 鎖延長, および酵素分解性
白浜 博幸堀 英明安田 源
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1999 年 48 巻 9 号 p. 911-915,931

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抄録
本研究では, 芳香族ユニットを含む脂肪族系ポリエステルの合成, 鎖延長, ならびに酵素分解性について検討を行った。最初に, Ti (O-i-Pr) 4触媒を用いて, ジエステル {脂肪族のジメチルアジペート (DMA) と芳香族のジメチルテレフタレート (DMT)} と1, 4-ブタンジオール (BD) との重縮合により, それらポリエステルを調整した。数平均分子量 (Mn) 10,000~16,000を有するポリエステルが良好な収率で得られた。DMT含有量が約40mol%以上 (すなわちDMT/DMA≧40/60) のDMT/DMA/BDポリエステルの融点 (Tm) はDMA/BDポリエステルのそれよりもはるかに高い値であった。続いて, より高分子量のポリマーを得るために, これらポリエステルの鎖延長反応を鎖延長剤にヘキサメチレンジイソシアネート (HDI) を用いて行った。鎖延長されたポリエステルのMnはもとの2~4倍に増加した。鎖延長ポリエステル (特にDMT含量40mol%) の機械的 (ここでは, 引張り) 特性は大幅に向上した。リポプロテインリパーゼによるこれらポリエステルの酵素分解性はDMT含量の増大とともに低下したが, それでもなお分解は緩慢ではあるけれど, 着実に進行していた。
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