2005 年 40.2 巻 p. 25-32
1997年のアジア経済危機を契機に、それまでインドネシア住宅供給政策における公的支援措置の柱であった、 RS/RSSと称される政府規格型簡易住宅に対する長期固定低利融資制度は抜本的に変更された。 RS/RSSに対する融資制度については、以前より世界銀行などの援助機関から、実態として低所得者に対する援助として十分に機能していないにもかかわらず政府の住宅リソースにおけるシェアが高いこと、一般金融市場と切り離されたシステムになっており非効率であること、などの批判があった。本稿は、インドネシア政府がこのような批判に対してどのように対応したかについて、その背景、経緯を、これまでの政府の住宅政策に関する基本的スタンスとの関係から考察しようとするものである。