抄録
日本酒製造の工程の精米時に相当量の米粉がでる。これは白糠と呼ばれているが,米を十分に利用するため,最近になり白糠を酵素で糖化し糖液を利用することが行われるようになってきている。糖液は糖化液を圧搾して作られるが,その残渣は水分を40~50%含み,蛋白質が豊富でこれまでは工場周辺の酪農あるいは養豚農家において飼料の一部として利用されていた。しかし飼料として効率的に利用するためには,糖液残渣を乾燥することが望ましく,この乾燥残渣(糖化粕と略)の栄養価の検討が必要となった。本研究では,蛋白質含量約50%(高糖化粕と略)および約30%(低糖化粕と略)のものを用いて,その栄養価を評価した。
実験1:8日齢の白色レグホーン種雄ヒナを用い,20%蛋白質の半精製飼料の蛋白質部分を10%だけ糖化粕とおきかえ,不足するアミノ酸を加えて10日間の飼育試験を行った。その結果,糖化粕添加飼料でも標準飼料と同等に発育した。
実験2:人工肛門を設着した白色レグホーン雄成鶏を用いた。高糖化粕および低糖化粕を単一蛋白質源とした10%蛋白質含量の飼料および無蛋白質飼料を作り,それぞれの飼料を1日70g,個体別代謝ケージに収容した5羽ずつの鶏に1週間ずつ給与し,それぞれの後半の3日間糞および尿を採集した。その結果,高糖化粕および低糖化粕における蛋白質の真の消化率は89および91%となり,生物価は65および66%,代謝エネルギー価は2.79および2.98kcal/gとなった。
実験3:1週齢のブロイラー専用種288羽を用い,とうもろこし,大豆粕,魚粉を主体とした実用飼料を用いた。試験飼料は高糖化粕を用い蛋白質含量で2,4,6%だけ大豆粕とおきかえた。49日間の増体量はどの試験飼料区ともほとんど同じであり,飼料摂取量は糖化粕の添加量を増加するにつれて減少した。また飼料要求率は糖化粕を添加すると減少した。
実験4:7か月齢の白色レグホーン産卵鶏180羽を用い,20週間実験した。標準飼料としてとうもろこし,魚粉,大豆粕を主体として実用飼料を用い,試験飼料として高糖化粕を蛋白質含量として2,4,6%だけ大豆粕とおきかえた。各試験区とも産卵率,産卵量および飼料要求率にはほとんど差がなかった。
大豆粕-とうもろこし型のブロイラー用および産卵鶏用の実用飼料に糖化粕を蛋白質含量換算で6%まで添加する場合に,不足するアミノ酸はリジンだけであり,糖化粕は鶏用飼料の蛋白質補助剤として,十分に使用できるものと推察される。