抄録
T細胞マイトジェンであるフィトヘマグルチニン(PHA)誘導性のニワトリ末梢血リンパ球(PBL)の活性化に対するβ-エストラジオールの影響をin vitroで追究した。同じ濃度範囲のテストステロンやコルチコステロンの影響も調査した。さらに,PHAで刺激されたPBLによるインターロイキン2 (IL2)の産生,およびIL2材料に対するPBLの反応性に対する低濃度(10-9M)と高濃度(10-5M)のβ-エストラジオールの影響についても追究した。10-9Mから10-7Mの濃度のβ-エストラジオールはPHA誘導性のPBL活性化を促進する作用を示したが,一方,最も高濃度のβ-エストラジオール(10-5M)は逆にその活性化を抑制した。テストステロンとコルチコステロンはそれぞれ高濃度において,PHA誘導性のPBL活性化に対する抑制作用しか示さなかった。β-エストラジオールはPHA刺激PBLによるIL2産生に影響し,10-9Mでは促進作用を,10-5Mでは逆に抑制作用を示した。一方,β-エストラジオールは高濃度,低濃度の両方においてIL2に対するPBLの反応性には有意に影響しなかった。以上の結果から,マイトジェン誘導性のT細胞活性化に対するβ-エストラジオールの濃度依存的な作用とマイトジェン刺激T細胞によるIL2産生に対するβ-エストラジオールの作用の間には密接な関連があると考えられる。