本研究では,水田と畑で起きた農作業事故の発生プロセスを,事故発生前・事故発生時・事故後の観点から紐解き,その発生傾向と特徴を明らかにした。分析の結果,水田と畑で頻発する事故は,耕うん・整地中に農業用車両が静止物に接触・衝突するものであり,物損事故全体の17 %を占めた。また破損した静止物の80 %は,給水・排水設備や壁などであった。この他に,人身事故や物損事故の一定数において,非農家が損害を受けている実態が明らかになった。これらの結果を踏まえ農作業事故を削減するための方策として,頻発する事故パターンに対応したほ場整備や注意喚起が重要であることを指摘した。