重症敗血症の病因物質であるサイトカインは,分子量が20~30kD程度であり理論的には血液濾過法により濾過あるいは吸着の原理で除去できる。一方,これらを除去する方法として大孔径の血液濾過膜や病因物質の吸着を企図した膜も開発されている。ところが,こと臨床研究となると膜の選択を考慮に入れたデザインは皆無である。湯本らの血液濾過膜によるHMGB1除去の報告によると,AN69STによる吸着能力は極めて高く,膜の化学的,物理的性質とHMGB1分子の相性が良いと考えられた。このような物質を除去する場合,孔径の大きな膜を使用しても,濾過による除去には限界があり,吸着が優れる。一方,海外では吸着は短時間で飽和に達するとの報告もあるが,吸着量,吸着時間は病因物質によっても異なると考えられる。本稿ではHMGB1の除去の検討を例にとり,血液浄化法の原理に基づく病因物質の効率的除去を再考した。