2026 年 5 巻 1 号 p. 146-155
アルカリ骨材反応(ASR)を発症した橋台へ適用された内圧充填工と表面含浸工法(シラン系撥水材)を対象に,補修効果やその継続期間について検討を行った.補修前後でコンクリートの膨張挙動を比較した結果,補修前に顕著な増加を示していた膨張量は,補修後温度変化に応じた僅かな変動に留まった.この膨張抑制効果は,ひび割れ内部に残存する水を樹脂との置換によって排除したこと,ひび割れへの樹脂充填によって外部からの水の侵入を低減したことが大きな要因であると推察された.ただし,橋台背面からの水分供給や躯体深部に残存する水分によって長期的には膨張量が累積する傾向にあり,補修から約4年で軽微なひび割れが発生した.これらの結果から,今回対象とした橋台で適用した補修工法は,恒久的な対策とはならないものの,ASRの進行速度を抑制して残存耐用期間を延長する効果を発揮したと言える.