2026 年 5 巻 1 号 p. 156-165
本研究は,全国の漁港施設の点検診断結果を基に,マルコフ連鎖モデルを用いて遷移確率を算出し,漁港施設の老朽化傾向を分析することで,維持管理に関する新たな知見を蓄積することを目的とするものである.まず,漁港施設の遷移確率と類似施設である港湾施設の遷移確率を比較した結果,防波堤においては漁港施設の約半数が港湾施設よりも高い遷移確率を示し,両者の老朽化傾向に違いがあることが示唆された.次に,漁港施設においては,施設種類や構造形式の違いが遷移確率の平均値に影響を及ぼし,老朽化の進行に差異が生じる結果となった.一方で,漁港施設全体としては,遷移確率の分布形が施設種類や構造形式には依存せず,概ね同様の傾向を示すことも確認された.