2026 年 5 巻 1 号 p. 218-228
インフラメンテナンスにおける労働力不足,特に地方自治体での技術系職員不足は深刻な課題である.データ駆動型のインフラ維持管理が求められる中,本研究では,技術系職員が維持管理部署に不在の熊本県玉名市の土木課維持係を対象に,日常維持管理業務の改善を試みた.3年間の住民要望や巡回対応記録に加え,新たに巡回の走行軌跡等を取得し,これら形式の異なる情報をGIS上で統合・分析するデータ基盤を構築した.このデータ基盤により,要望と対応の地理的傾向の違いや,長期間対応されていない路線の存在といった,これまで担当者の経験則に頼っていた管理の実態が可視化された.本研究は,経験則に依存していた従来の管理手法から,客観的データに基づく戦略的な日常維持管理へ移行を促すEBPMの実践を示すものである.