抄録
建築物や道路などの社会基盤構造物を建設する際には大量の資材が投入されており,都市に蓄積された物質は構造物が取り壊される際に廃棄される.このように大量の物質が移動する際には投入や廃棄処理を効率的に行う必要があり,マテリアルフローを定量的に把握することは,循環型社会の形成を考える上で不可欠である.本研究では,名古屋市の中心部をケーススタディ対象地として,1970年,1980年,1990年,1997年,2003年,2009年の6年代で構築された4d-GISを用いて用途地域別や,大規模な建物更新があったエリアを対象にMSFA(Material Stock and Flow Analysis)を行った.その結果,対象エリア内のマテリアルストックは増加傾向にあり,特に商業地域において物質が高密度に分布していることが分かった.さらに,用途地域などの都市構造の変化が物質代謝に影響を与えていることを示した.