抄録
本研究では,階段式魚道プール内の礫堆積時におけるウグイの遡上および滞留行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.そのため,水理実験と実魚を用いた挙動実験を行った.実魚を用いた挙動実験では,特にウグイの滞留行動に着目した.
その結果,プール内の礫堆積の有無に関わらず,魚の遡上に適した落下流が形成されることを再確認できた.しかし,プール内に礫が堆積するとその領域は5~8割程度に縮小した.また,ウグイの滞留箇所では時計回りと反時計回りの回転流れが混在したため,ウグイは上下流を向いていた.そのため,ウグイが魚道を通過する時間やプール内に留まる時間が長くなり遡上率Rrは低下した.さらに,ウグイは流速が2BL (cm/s)程度であり,かつ,流れの乱れが10~15(N/m2)程度の礫床付近で滞留した.