2019 年 75 巻 5 号 p. I_155-I_163
本研究ではバングラデシュ南部沿岸地域の飲み水支援を最終目標に,異なる長さの三角型太陽熱淡水化装置(TrSS)を用いた野外実験を行い,その造水量を調べた.また得られた実験結果を基に,同地域におけるTrSS(長さ1.0mおよび1.6m)の造水量および造水コストを試算し,同地域におけるTrSSの普及可能性を検討した.その結果,同地域の乾期(1月から4月)の気象条件に対して,長さ1.0mおよび1.6mの平均造水量は0.558kg/dayおよび0.834kg/dayとなった.また1日に必要な1人当たりの飲み水(1.5L/day)を確保し,乾期のみ10年間使用することを想定すれば,1.6mのTrSSの方が1.0mのそれと比較してコスト面で約8%優位となる.いずれの長さにおけるTrSSの造水コストも現地の基準水コスト(1.0BDT/L,BDT=バングラデシュタカ)と同程度であり,同地域において普及可能性があることが分かった.