2019 年 75 巻 5 号 p. I_47-I_55
本研究は,農業分野における気候変動適応策・技術の全国展開について今後の見通し得ることを目的として,文献調査と聞き取り調査により,地域間での波及の状態,過程,要因の事例分析を行った.主な結果として第1に,課題を満たす技術の出現があった上で「組織的」「人的」要因の果たす役割が大きい.特に地域で主導的な立場にある「篤農家」やステークホルダー等から構成される「協議会等の組織」の果たす役割は重要であり,技術導入による収益向上(経済的要因),補助金制度の利用(制度的要因)等が有効である.第2に,地域間では,より大規模な地域間交流などの活動(組織的要因),地域間の人的ネットワーク(人的要因)等に加えて,文化的要因によるローカライズを通じた技術の最適化も波及のポイントとなる.