2019 年 75 巻 5 号 p. I_65-I_72
2017年,気候変動研究で分野横断的に用いられる新たな社会経済シナリオSSPs(Shared Socioeconomic Pathways)が公表された.日本の温室効果ガス排出量の削減経路及び気候変動影響や適応策評価においても活用が検討されているが,SSPsは世界全体を対象としているため国特有の状況や動向を精緻・正確には反映出来ていない可能性がある.本研究では,既往研究における研究論文や政府機関あるいはNGOの発行するレポート,政府委員会等で公表された資料などを網羅的に収集し152の日本の将来シナリオをデータベース化した.そして,既存のSSPsとの比較分析により,日本版のSSPsを作成するにあたって,注意すべき留意点や既存シナリオとの整合性等について議論を行った.結果の一例として,人口減少や原子力発電など国内で課題とされている項目に関して両者のシナリオの幅に乖離がみられた.