2020 年 76 巻 5 号 p. I_211-I_220
本研究では,土砂災害警戒区域に対する既往最大,気候変動予測の極大降雨量に応じたリスクの時空間情報を整備することで,適応策として活用可能な情報の開発を試みた.対象地域は長野県である.気候変動予測の極大降雨量として,可能最大降水量を用いて警戒区域のリスク情報を導出した.また,リスクの時空間情報として,斜面崩壊発生確率モデルより求められた警戒区域の過去から将来に至る発生確率のマップデータを整備した.結果として,現在,近未来,将来の土砂災害警戒区域のリスク情報が開発され,地域に応じた時間変化に応じたリスクの定量化が図られた.また,緊急的に警戒区域の対応の必要な自治体の情報が取得された.加えて,結果のアウトプットを利用した適応策の実行事例案を提示した.