2020 年 76 巻 7 号 p. III_251-III_259
閉鎖循環式養殖システムにおいて,循環率,換水周期,換水率を低下させたことによる省コスト運転の事業性と環境負荷の評価を目的とし,2週間の飼育実験を行った.結果として,増肉係数とストレスには影響は見られなかった.この結果を踏まえて,コスト計算を行ったところ,循環ポンプ代,貯水槽の水温調節器,貯水槽,循環ポンプと貯水槽の水温調節器のランニングコスト,排水処理代,人件費,飼育水代において合計で867円/kgコスト削減できる可能性が示された.硝酸態窒素量,排水量についてもそれぞれ,0~13.6%,14.7~20.1%の削減ができる可能性が示された.以上より,循環率,換水周期,換水率を低下させた場合でも,事業性は向上でき,排水による環境負荷が軽減できる可能性が示された.