土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境システム研究論文集 第49巻
人口減少による生活系負荷の変化を考慮した瀬戸内海の窒素・リン発生負荷量の推計
中谷 祐介小野 一樹鹿島 千尋西田 修三
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 77 巻 6 号 p. II_67-II_72

詳細
抄録

 瀬戸内海を対象に,人口減少による窒素・リンの発生負荷量の将来変化を推計するとともに,今後の汚濁負荷の管理方針に関する検討を行った.瀬戸内海全体では,2020年に比べて2050年には集水域人口が約21%減少するが,生活系負荷が減少することで,発生負荷量は窒素で約7.0%,リンで約9.5%減少し,窒素に比べてリンが大きく減少する.発生負荷量の排出源別構成比や人口減少率の空間分布を反映して,負荷量減少率は湾灘ごとに2%~16%の範囲で大きく異なった.大阪湾と豊後水道を除く湾灘では,人口減少率と負荷量減少率との間に比較的強い相関が認められ,集水域人口が10%減少するにつれて窒素・リンの発生負荷量はそれぞれ4.4%,2.9%減少すると概算可能であった.今後,豊かな海の実現に向けて発生負荷量を制御する際には,人口減少による負荷減少量を見込む必要がある.

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top