2022 年 78 巻 6 号 p. II_37-II_50
オオタカの生息に社会の違いが与える影響を明らかにすることを目的として,公開されている生息情報をダウンスケールして種分布モデルを作成する手法を提案し,同手法を用いて関西圏における種分布モデルを作成した.さらに,作成した種分布モデルを用いて現状維持と4つの将来シナリオにおける生息適地を推定し,シナリオ間で生息適地を比較した.本研究の提案手法はダウンスケーリングせずに作成した種分布モデルよりも,不確実性が増すことにより精度(k値)がわずかに低下するものの,空間解像度を4倍にしたオオタカの分布の推定ができた.また,セントロイドアプローチに比べて,よりオオタカの生態を反映したモデルの構築が行えた.将来の生息適地数は自然資本コンパクト型社会において最多となり,現状維持において最少となった.