2016 年 72 巻 2 号 p. I_1099-I_1104
広島湾沿岸域では,還元有機泥が堆積し底質環境の悪化を招いている干潟がある.この底質改善に石炭火力発電所から産出される石炭灰を造粒・固化した海砂代替材(石炭灰造粒物)が覆砂材として活用され,底質改善に併せてアサリ生息基盤の回復が期待されている.しかし,石炭灰造粒物はアサリ生息基盤としての適用性は十分明らかにされていない.本研究では,還元有機泥が堆積する干潟へ石炭灰造粒物を覆砂した場合のアサリ生息基盤としての適用性について,対照基盤(在来底質,自然砂礫)との比較による室内外での実験と調査により検討した.その結果,石炭灰造粒物と還元有機泥が混合されると還元有機泥のみと比較しアサリ成貝の生息基盤に適することが明らかとなった.またアサリの潜入しやすさを砂・自然礫質材と比較し定量的に評価した.