2022 年 6 巻 s3 号 p. s226-s229
「日本研究のための歴史情報」プロジェクトでは、明治以降の近代法体系に基づく全法令のオープンデータベースシステムの構築を目指している。その最初の作業として、日本国憲法施行以前の法律と勅令のデータベース化に取り組んでいる。日本政府の「e-Gov法令検索」は、データ利活用の観点から、法令標準XMLスキーマに従った現行法令のデータを提供している。本プロジェクトでも、共通規格として、このスキーマに準拠する方針である。しかし、このスキーマは、その策定時(2017年)において有効な法令の文書構造を記述できるように設計されたため、日本国憲法施行以前の法律や勅令に適合することは担保されていない。本報告は、明治19年から大正10年までの法律・勅令の文書構造を分析した結果をもとに、法令標準XMLスキーマに対して追加・変更が必要な事項と、同スキーマが対象としていない上諭の構造化に必要な事項を示す。