2012 年 32 巻 2 号 p. 190-192
先天性QT延長症候群(LQTS)は,心電図上にQT時間の延長とtorsade de pointes(TdP)と呼ばれる重症心室性不整脈を生じて,失神や突然死をきたしうる疾患で,現在までに13の遺伝子型(LQT1~13)が報告されている.このうちLQT1,LQT2,LQT3の3つの遺伝子型の頻度が全体の75%を占めており,それぞれ原因遺伝子であるKCNQ1,KCNH2,SCN5Aの異常が報告されている.先天性LQTSでは,あらかじめ遺伝子型を知ることが,TdPの予防および治療において重要であり,鑑別にはエピネフリン負荷試験が有用である.遺伝子型特異的治療として,LQT1ならびにLQT2では,β遮断薬が第一選択であり,LQT3ではIb群のNa+チャネル遮断薬(メキシレチン)の投与やペースメーカ治療が有用とされている。