日本臨床救急医学会雑誌
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原著
GCSによる意識レベル評価法の問題点:JCSによる評価との対比
並木 淳山崎 元靖船曳 知弘鈴木 昌藤島 清太郎堀 進悟相川 直樹
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キーワード: 意識レベル, GCS, JCS, 見当識
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2007 年 10 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

Glasgow Coma Scale(GCS)による意識レベル判定の現状と問題点を明らかにする目的で,1年間の救急車搬入患者3,449人を対象とし,初期臨床研修医が判定するJapan Coma Scale(JCS)およびGCSスコアについてretrospectiveな検討を行った。全症例の85%がGCS 15で占められた。GCSのEVM各要素とJCSスコアには全症例の93%で整合性が認められたが,GCS 14~4では各GCSスコアの10%以上の症例でJCSとの整合性を欠いていた。GCSのEVM各要素の理論上の組合せ120通りのうち,実際に対象症例の0.2%以上で記載された組合せは8通りであった。EVM各要素の点数とJCSとの整合性の分析の結果,1)見当識障害の判定,2)音声に対する開眼反応,3)疼痛部位認識と逃避の区別,がGCSによる意識レベル誤判定のおもな原因と推定された。GCS判定の精度向上のためには,使用頻度の高い8通りのEVMの組合せについてのトレーニングが効果的と考えられた。とくに,見当識と音声に対する開眼反応についての知識を再確認する必要性が示唆された。

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© 2007 日本臨床救急医学会
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