2020 年 23 巻 6 号 p. 806-811
82歳,男性。左下腿を受傷10日目より開口障害が現れ,翌日破傷風の疑いのため入院となった。破傷風全身型の第2期と診断し,抗菌薬および抗破傷風ヒト免疫グロブリン製剤を投与した。第4病日より全身の痙縮と後弓反張が出現し,第3期へ移行した。第9病日より人工呼吸器管理とし,痙縮に対しベクロニウムの投与を開始した。第13病日より硫酸マグネシウムを0.3g/時で併用し,徐々にベクロニウムを減量した。第19病日の血清Mg値は3.4mg/dLであった。第22病日にベクロニウムを中止したところ,四肢ならびに体幹の痙性が軽度現れた。ベクロニウムは硫酸マグネシウム開始前の0.67μg/kg/分から,最終的に0.5μg/kg/分まで減量できた。低用量の硫酸マグネシウムを投与することにより,破傷風の治療域未満の血清Mg値であってもベクロニウムの用量を低減する可能性が示唆された症例であった。