京都で製造されているすぐきの製造工程における微生物叢および化学的成分の変遷を検討した.製造工程における菌数の推移は,工程が進むにつれてグラム陰性菌や大腸菌群数が減少するのに対して,乳酸菌数が増加する傾向を示し,室発酵終了時には108 CFU/gに増加した.製造工程における微生物叢の推移は,原料からは多種多様な菌が検出され,なかでもPseudomonas 属菌が多く検出された.荒漬および本漬工程後ではMicrobacterium 属菌の占める割合が高く,M. testaceum が多く検出された.追漬工程ではLactobacillus 属菌が優占種となり,なかでもL. sakei とL. curvatus が多く検出された.室工程後ではL. plantarum と L. brevis が優占種であった.塩濃度は原料および面取り工程では低く,荒漬工程では6.3%を示し,その後の工程では塩濃度は3%程度の数値で推移した.pHについては製造工程が進むにつれて低下する傾向が認められ,室工程後では4.2を示した.酸度ならびに乳酸値は原料から荒漬工程までは大きな変化は認められなかったものの,室工程から数値が増加し,熟成後が最も高い数値を示した.