2011 年 49 巻 1 号 p. 32-41
【目的】上部内視鏡(以下EGDS)に続いて大腸内視鏡(以下CS)を連続して実施する上・下部連続内視鏡検診(以下上下部検診)の有用性の検証。【対象】1991年10月から2009年9月までに, 我々が実施した上下部検診の受診者延べ10,183名(男7,757名, 女2,426名)。【方法】まず経口洗腸法を行い, 静脈麻酔を行ってからEGDS→CSと連続実施する。【結果】1.受診者の受容性:1)反復受診率は58.4%。2)EGDSの嘔吐反射は,(-)92.2%,(+)~(+++)4.5%。3)CSのスコープ挿入痛は,(-)87.2%,(+)・(++)11.3%,(+++)0.5%。2. 発見癌:食道12例(早期11例, 進行1例:早期癌比率91.7%. 累積発見率0.47%), 胃24例(早期22例, 進行2例:早期癌比率91.7%. 累積発見率0.94%), 大腸41例(早期34例, 進行7例:早期癌比率82.9%. 累積発見率1.61%)。【結論】上下部検診は, 適切な麻酔下に熟達した内視鏡医が実施すれば, 受診者の受容性, 診断精度ともに極めて高い, 究極の食道癌, 胃癌, 大腸癌検診法である。