日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
人間ドックにおけるX線造影検査画像と尿中抗H.p抗体法とペプシノゲン法検査結果の対比
齋藤 洋子富山 芳丈上甲 宏岡安 啓介桑原 淳西木戸 理子皆川 京子海老原 次男対馬 健祐富田 慎二堀田 総一松本 尚志
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2014 年 52 巻 1 号 p. 46-60

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抄録

上部消化管X線造影検査被験者755人に尿中抗H.p抗体(以下H.p)法とペプシノゲン(以下PG)法を実施し, 読影を前向きに行い, H.p法とPG法の結果と対比した。X線画像上H.p未感染相当正常胃をA1, 慢性萎縮性胃炎をC2-4とした。PG法陽性は三木の基準(PGI≦70.0ng/mlかつPGI/II≦3.0)を用いた。
除菌歴なし群は651人(86.2%)であった。H.p法陰性者の割合は40歳未満75%, 40歳代61%, 50歳代44%, 60歳以上31%であった。X線画像上のA1は275人中261人(95%)がH.p法・PG法陰性であり, Cの354人中322人(91%)がH.p法・PG法のいずれが陽性であった。
X線画像上H.p未感染相当正常胃粘膜症例の殆どがH.p法・PG法(三木の基準)陰性群であった。現在実施されているX線法による胃がん検診の「異常なし」の判定は, H.p未感染相当正常胃粘膜に限るべきであり, 毎年の受診勧奨は不要である。背景粘膜を読影できる医師が充足できない場合, 画像の撮影と読影が不要で簡便である, H.p法+PG法に一次スクリーニングの位置を譲ることになろう。

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© 2014 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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