2025 年 63 巻 5 号 p. 602-612
わが国の対策型胃がん検診において内視鏡検診の導入が推進されてきているが, 医療資源の偏在から導入できている自治体と導入に至っていない自治体に二極化してしまっている。浜松市では, 医療資源に比較的恵まれていたことから2011年度に対策型内視鏡検診が導入され, 医師会を中心にICTを利用した検診運営を行ってきている。さらに, 2017年度からは, 受診者をリスク層別化してリスク集約型検診を行っている。受診者は内視鏡所見とHelicobacter pylori(H. pylori)除菌歴より, 現感染者・既感染者やA型胃炎と思われる受診者(高リスク群)と, それ以外の受診者(低リスク群)に層別化されて, 高リスク群に対してより集中的に検診を実施するシステムとなっている。こうした一連のシステムはICTを利用しているため, 利用環境が整えば浜松市以外の地域でもこのシステムを利用して検診運営を行うことは可能である。そこで, 浜松市近隣で内視鏡検診が導入できていない自治体や, 遠隔地でも人口が少なく内視鏡検査が出来る施設はあるが二次読影運営をするのが困難な自治体などが我々のシステムを利用できるようになれば, 今後内視鏡検診の導入が少しずつ進んでいくのではないかと考えている。