『古事類苑』とは,明治政府の一大プロジェクトとして明治12年(1879)に編纂がはじまり,明治29年(1896)から大正3年(1914)にかけて出版された,本文1,000巻,和装本で350冊,洋装本で51冊,総ページ数は67,206ページ,見出し数は40,354項目におよぶ大百科事典である.部や門で階層的に整理された見出しには,前近代の文化概念について明治以前のあらゆる文献からの引用が掲載されており,日本文化を理解するうえで有用な事典である.これまでに,天部,歳時部,地部,帝王部といった13の部の知識グラフを構築し,古事類苑LODとして公開している.本研究では,古事類苑LODの詳細を述べたあと,「地部」に掲載されている地名や地形,地理に関する見出し語について,古事類苑内での記述および引用された文献との関係性の発見を目指す.