2022 年 33 巻 2 号 p. 77-85
多くの学術雑誌では論文掲載の条件として新規に決定された塩基配列情報を DNA Data Bank of Japan(DDBJ)を始めとする公共塩基配列データベースに登録することが求められている。登録されたデータは誰でも制限なく参照・再利用することができるため、公共塩基配列データベースは生命科学を支えるデータ基盤として貢献してきた。乳酸菌においては 2000 年代初頭に初めて全ゲノム配列が決定されて以来、約 20 年間で五千件を超えるゲノム配列がデータベースに登録されてきた。本総説ではデータベースに登録された様々なゲノム配列を概観することで乳酸菌ゲノム解析における研究動向を振り返ってみたい。