骨はコラーゲンを中心としたたんぱく質基質に, リン酸カルシウムが沈着して生成する。カルシウムは骨の重要な構成成分だが, 生体の重要な機能を担い, 血清カルシウム濃度は, 副甲状腺ホルモン・活性型ビタミンD・FGF23などによって厳密にコントロールされている。ビタミンD不足 (欠乏よりは程度が軽い) は, 骨折はじめ種々の疾患リスクとなる。ビタミンKは血液凝固因子だけではなく, 骨基質たんぱく質にも欠かせない。骨粗鬆症は骨折リスクの増加した状態であり, 骨折リスクは骨密度・骨質により規定される。葉酸・ビタミンB12・ビタミンB6不足によって起こる高ホモシステイン血症は, 骨質劣化を介して, 骨折リスクとなる。日本人の食事摂取基準において, 骨折予防は生活習慣病の発症予防を目指す目標量の対象ではなく, これら栄養素に対して, 目標量は定められておらず, 骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインにおける必要量とは数値が異なる。