加齢に伴う筋量と筋機能の低下 (サルコペニア) は高齢者の機能的自立を奪い, 要介護状態を引き起こす。サルコペニア対策として, タンパク質摂取は欠かすことができない。タンパク質に含まれる必須アミノ酸の中でも, 特にロイシンがmTORC1を介して骨格筋タンパク質の合成作用を高める効果を有している。サルコペニア予防に向けたタンパク質摂取においては, 1日の総摂取量のみならず, 3食の各食事でのタンパク質の摂取量にも注意を払う必要がある。レジスタンス運動は日常生活において唯一, 積極的な筋肥大を促すことが可能な介入手段であり, 運動効果を最大限に高め, 筋肥大を促すには適切なタンパク質摂取は必須である。さらに, ビタミンDの不足・欠乏状態はサルコペニアのリスクを高めることから, 高齢者を対象とした場合, 運動介入と組み合わせて複数の栄養素の状態を介入・モニタリングする必要性も想定される。