日本栄養・食糧学会誌
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総説
食品タンパク質・ペプチドによるGLP-1分泌促進とそれによる血糖上昇抑制,体温上昇作用
比良 徹
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2024 年 77 巻 1 号 p. 13-19

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抄録

消化管ホルモン Glucagon-like peptide-1 (GLP-1) の分泌は主に食後に増大し, これによるインスリン分泌促進を介した食後高血糖の緩和をはじめ, 多様な生理応答をもたらす。私たちは, 動物試験により種々の食品タンパク質・ペプチドがGLP-1分泌促進を介して血糖上昇を抑制できることを示してきた。また, GLP-1産生細胞株において, ジペプチドライブラリーを用いたGLP-1分泌試験により, 11種の新たな活性ペプチドを見出し, 中でもTrp-Tyrという配列が強力なGLP-1分泌作用を持つことを明らかにした。食品タンパク質の摂取は食後熱産生を強く誘導する。ラット, マウスにおいて, タンパク質経口投与による直腸温 (深部体温) 上昇は, GLP-1受容体の阻害およびノックアウトにより消失した。これらにより, GLP-1の新たな生理作用として, 食品タンパク質による食後熱産生誘導に関わる可能性を見出した。本稿では, 多様な生理作用を持つペプチドのGLP-1分泌促進作用を中心に, そこから見出されたGLP-1の新たな生理作用ついても紹介する。

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