日本栄養・食糧学会誌
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総説
焼成多孔性シリカゲルを用いた可食性タンパク質由来生理活性ペプチドの探索
本多 裕之
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2024 年 77 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

食品タンパク質由来の生理活性ペプチドの製品化には, 酵素処理したタンパク質加水分解物の中から, 多段階の工程を経て, 分離濃縮する必要がある。我々は, ペプチド混合物の中から, 特定の物理化学的性質を持つペプチドを容易に分離可能な焼成多孔性シリカゲル (Heat-Treated silica gel ; HTSG) を開発した。HTSGは, 周りの環境 (pHなど) によって物理化学的性質の異なるペプチドを吸着できる。例えば, 酸性条件では疎水性のペプチド, 中性条件では塩基性のペプチドを吸着するため, 中性条件で苦味ペプチドを選択的に除去できることを明らかにした。また, pH条件を変えると吸着特性が変わることを利用して, 胃のpHではHTSG内部に吸着し, 腸内pHではリリースする腸送達ペプチドも探索できる。さらにはpH条件を変えて吸脱着処理することで特定のペプチドを選択的に濃縮することもできる。本研究では, この吸脱着処理により, 可食性タンパク質由来で食事由来コレステロールの腸管への吸収を抑制するコレステロール吸収抑制ペプチドの探索や選択的濃縮について調べたので報告する。

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