長崎県では多種多様な農林水産物が収穫 (収獲) されているが, その中には一部だけ利用されているものや必ずしも有効に利用されていないものもある。そこで筆者らは, 未利用の県産農産物に着目し, これら素材の有効活用に取り組んだ。未利用のビワ葉と緑茶三番茶葉を利用した新たな茶の製造に着手し, 味や香りに優れる高品質の発酵茶を開発した。この発酵茶はヒトの内臓脂肪面積減少作用を有することが明らかになり, 機能性表示食品として販売している。次に, ビワ葉に代えて五島列島産の未利用のツバキ葉を活用した発酵茶を製造開発し, 紅茶風味の飲みやすい発酵茶が完成した。ミカンの栽培において未熟なミカン果実 (摘果ミカン) の大部分は廃棄されているが, この摘果ミカンを用いた発酵茶を商品化した。この発酵茶にはヒトにおいて種々の健康機能性が確認され, 機能性表示食品として登録されている。地元特産の素材を活用した新たな発酵茶は順調な売り上げを示し, 地域活性化に結びつく貴重な取り組みとして評価されている。