摂取たん白レベルの相違が早朝空腹安静時の血漿中遊離アミノ酸濃度にどのように影響するかを検討した。
健康な男子学生15名を被検者とし, たん白質以外の栄養素は日本人男子の栄養所要量を満たすものとして, たん白摂取レベルのみを次のように変化させた。
体重あたり1.25g/kgの標準食を7日~10日間投与後0.5gの低たん白食, 0gの無たん白食と, 2.5gの高たん白食を約2週間投与し, 尿中窒素排泄量が一定レベルに達したときの早朝空腹安静時に採血し, 標準食期の血漿中遊離アミノ酸濃度と比較した。
1) 低たん白食期の血漿中遊離アミノ酸濃度は分岐鎖アミノ酸スレオニン, アルギニンで有意に低下した。必須アミノ酸の合計は有意に低下し, 非必須アミノ酸の合計は差を認めなかった。したがってE/N比は有意に低下した。
2) 無たん白食期では分岐鎖アミノ酸, スレオニン, フェニルアラニン, チロシン, ヒスチジン, アルギニンで減少した。必須アミノ酸の合計, E/N比の有意な低下が認められた。しかし低たん白食期と無たん白食期との間では有意差は認められなかった。
3) 高たん白食摂取時にはグリシンで減少した以外は血漿中遊離アミノ酸濃度は標準食に比較してほとんど変動がみられなかった。